新緑が眩しい連休初日。馬場精子の独演会「春に咲くvol.3 〜岡本かの子を読む〜」を開催いたしました。JR奈良線「山城多賀駅」から10分ほど歩くと、お洒落な白い建物にフランスの国旗が目を引くフレンチレストラン庵樹さんがあります。周りは、長閑な風景が広がり、とても静かです。
実は3年前、生徒さまである朗読の会「スピークル」の皆様と「玉水」へお花見に参りました。今もその美しい光景を忘れることができません。その時、皆様とランチに伺ったのが、こちら庵樹さんでした。
生徒さまからもリクエストがあり、1年後、「春に咲くvol.2」をマリンバの演奏と朗読のコラボレーションで、開催いたしました。お料理も美味しく、落ち着いた雰囲気は、朗読をお楽しみいただくのに、ぴったりな場所で、とても気に入りました。
第1部はお食事。まずは、オードブル・スープ・メイン料理を。ワインリストももちろんありますので、楽しまれる方もいらっしゃいました。お友達同士だけではなく、初めてお会いになる方もご一緒に、笑い声が響き、会話が弾んでいました。
それまで知らなかった方(実は共通のお知り合いがあったりしたのですが。しかも驚くことにそれがあちらでもこちらでも!)が、私の独演会の会場で繋がられるというのも、何かご縁を感じて、ほんとうに嬉しいことだと思います。
第二部は朗読です。最初に尺八奏者、田中黎山氏の” cloud,misty,sun ”が流れる中、登場。岡本かの子作『愛』を朗読しました。とても幻想的で、情熱的な内容です。
そして、その作品を読んだ後に、岡本かの子の何枚かの写真をご覧いただき、経歴やエピソードについて、お話をさせていただきました。
あとでお聞きしたことですが、このお話をしたことによって、作品の理解、そして親しみを、より感じていただけたようです。
二つ目の作品は同じく岡本かの子の作品で『鮨』を朗読しました。黙読すれば短編ですが、朗読すると非常に長い作品です。少し編集をして朗読いたしました。「福ずし」というお鮨屋さんが舞台の物語です。そこの一人娘「ともよ」とお客である「湊」の話なのですが、私は、この作品の中で好きなシーンがあります。
・少年が、一人できちんと座って煎餅をかじり、涙を浮かべるところ。
・少年が「お母さん」と何度も呼ぶところ。
・潔癖過ぎて食べ物を口にしないわが子のために、母親がまるでステージで演じるように鮨を作るシーン。
うっとりするような魅力と、美しさのあるシーンだと思っています。読みながら幸せを感じるシーンです。その少し妖しい雰囲気と不思議さ、温かさ、力強さの魅力を感じていただけていたら嬉しいです。
そして第3部はデザート2種とお飲み物。私も皆さまのお席に行き、楽しくお話をさせていただきました。終わりになっても楽しくてまだまだお話し足りないご様子の皆さま。名残惜しさも感じながら、お見送りのご挨拶をさせていただきました。
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お天気も良く、清々しい春の1日を皆さまとご一緒に過ごすことができて、とても嬉しく思います。今回は1ヶ月以上前に満席になり、有り難く思っております。それとともに、キャンセル待ちでご迷惑をおかけしてしまった皆さまには申し訳なく思っております。次の機会に、ぜひお目にかかれます事、心待ちにしております。ありがとうございました。
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